Entrustable Professional Activities (EPA)”委託可能な専門的活動”については、以前の投稿で解説しました。
コンピテンシーは個人の能力=知識、技能、態度、他のことを示して用いられることが多く、コンピテンスはその職業や業務に必要な能力という意味でより公式の意味合いで用いられることが多く、中身はほぼ同じです。
EPAとコンピテンシーの違いについてはどうでしょうか?Society of American Gastrointestinal and Endoscopic Surgeons (SAGES)は年次集会やウェビナーから有用な内容のものをYouTubeのチャンネルで紹介しています。その中で、2019年 Brenessa Lindeman, MD, MEHPによる”Entrustable Professional Activities – Competency Assessment as a Day-to-Day Activity”というタイトルの講演を見ることができます。
この講演から、アメリカにおける専門医教育の現状、Competency-Based Medical Education (CBME)やEPAについての情報が得られます。
Lindeman先生によると、コンピテンシーとEPAの違いは次の様になります。
項目 | コンピテンシー | EPA |
評価単位 | 個人の能力 | 活動のアウトカム |
内容 | 文脈に依存しない | 臨床の文脈に埋め込まれている |
スコープ | 個々の能力の知識/技能/態度を取り扱う | 統合化された能力の知識/技能/態度を取り扱う |
個人のEPAの評価は毎日の活動に対して行われ、0. 見学だけ、1. 直接的指導・監督の下で行える、2. 間接的な監督の下で行える、3. 監督無しで行える、4. 自分が他の人の指導・監督ができる、のレベル評価を、Patient Care (PC), Knowledge for Practice (KP), Practice-Based Learning and Improvement (PBLI), Interpersonal and Communication Skills (IPC), Professionalism (P), Systems-Based Practice (SBP), Interprofessional Collaboration (IPC), Personal and Professional Development (PPD)などのそれぞれのコンピテンシーの観点から評価するとのこと。
EPAという概念を取り入れることで、すべてが変わると言えるほどの変化が医学教育、臨床の教育にもたらされるように思えます。