文献: Velentgas P, Dreyer N, Nourjah P, Smith S, Torhia MM, ed : Developing a protocol for observational comparative effectiveness research: a User’s guide. AHRQ, 2013, Rockville. PubMedリンク
比較効果研究Comparative Effectiveness Research (CER)のNAM National Academy of Medicine (旧IOM Institute of Medicine)の定義は、“比較効果研究CERは臨床状態の予防、診断、治療、モニターのためあるいはケアの供給を改善するための方法の選択肢の益と害を比較するエビデンスの生成と統合を行うことである。CERの目的は個人および集団の両方で、消費者、臨床家、購入者と政策決定者が、ヘルスケアを改善するであろう、情報を与えられた上での決断を支援することである。”です。以前の投稿で述べたとおりです。
一方、診療ガイドラインのMindsの定義は、WHOやGRADE Working groupと同じですが、”診療上の重要度の高い医療行為について、エビデンスのシステマティックレビューとその総体評価、益と害のバランスなどを考量して、患者と医療者の意思決定を支援するために最適と考えられる推奨を提示する文書”です。(Minds診療ガイドライン作成マニュアル2017」)
文献:——– Asche CV ed.: Applying Comparative Effectiveness Data to Medical Decision Making: A Practical Guide. 2016, Adis (Springer International Publishing Switzerland) この本にはCERの定義について、IOMだけでなく、NIH、AHRQ、PCORI、Federal Coordinating Council for Comparative Effectiveness Researchの定義も記載されています。
*もともとIOMは2011年の時点で、システマティックレビューの定義のなかで、システマティックレビューは”scientific investigation”科学的研究であると述べています。 ”A systematic review is a scientific investigation that focuses on a specific question and uses explicit, preplanned scientific methods to identify, select, assess, and summarize the findings of individual, relevant studies. ” (Clinical Practice Guidelines We Can Trust, 2011) また、多くのシステマティックレビュー/メタアナリシスの論文がさまざなジャーナルに発表されていて、システマティックレビュー/メタアナリシスは学問的な活動の成果であることについては異論はないと思います。さらに、CERの条件にあえば、CERとしても成立します。
SOLOとはStructure of Observed Learning Outcomesのことです。知識や技能の浅い理解から深い理解への分類で理論ではなく、エビデンスに基づく分類体系です。学習者が知識や技能を獲得していく過程の研究から生まれたものです。1982年のBiggsとCollisを嚆矢とします( Biggs JB, Collis KF: Evaluating the Quality of Learning: The SOLO taxonomy. 1982, New York: Academic Press. )。カリキュラムを作成する際に用いるタキソノミーすなわち分類体系と呼ばれるもののひとつです。
他には理論に基づくBloom’s taxonomyというのが知られています。(Bloom BS, Engelhart MD, Furst EJ, Hill WH, Krathwohl DR (Eds): Taxonomy of Educational Objectives: The classification of Educational Goals – Handbook 1 Cognitive Domain. 1956, David McKay, New York, NY, USA. )こちらの方は、 知識の形式と知識の獲得・利用とが同列に扱われていることが問題点として指摘されています。
Hook & Millsはその著書で、SOLO taxonomyを用いることで、以下のことが実現できると述べています。 学習者と教師は •学習企図と学習経験を思慮深くデザインできる。 •有効な方略と成功の基準を決めて、用いることができる。 •学習アウトカムのフィードバックと事前のアセスメントを提供することができる。 •次に何をすべきかについて意味のある振り返りができる。 (Hook P, Mills J: SOLO Taxonomy: A guide for Schools BK1: A common language of learning. 2011, Essential Resources Educational Publishers Limited, Laughton, UK. Hook P, Mills J: SOLO Taxonomy: A Guide for Schools. Planning for differentiation. Book 2. 2011, Essential Resources Educational Publishers Limited, New Zealand. )
SOLO taxonomyでは学習アウトカムあるいは学習目標を以下の図および表に示すように分類します。アウトカムあるいは目標は知識だけでなく技能、態度にも適用できるはずです。