メタアナリシスをすべきかどうかそれが問題だ

AHRQ Agency for Healthcare Research and Qualityから2018年にQuantitative Synthesis-An Updateというレポートが出されています。(2020年に訂正あり)。執筆者は12名、ピアレビューは15名が担当しています。

メタアナリシスをしようと思った時に、各研究間に異質性がある場合、それらを単にプールして統合値を求めることに当然疑問を抱くと思います。メタアナリシスをすべきかどうかそれが問題だという時に役に立つ情報です。

5章から構成され、以下のテーマが取り上げられています。1. 試験結合の決定、2. エフェクトサイズデータの使用の最適化、3. 研究結合のための統計学的モデルの選択、4. 統計学的異質性の定量化・検定・探索、5. ネットワークメタアナリシス。

今回は、第1章 試験結合の決定の概要を紹介します。メタアナリシスをすべきか決めるためのフローチャートが提示されているので、スライドと解説としてまとめてみました。最後にQuizが2つあります。Link to ”Pooling decision tree”

メタアナリシスをしようと思った時に出てくるさまざまな疑問に答えられる有用な情報になると思います。これに沿って考えることは役に立つと思います。

もう一つ重要なポイントは、この報告書をWorking Groupがどのように作成したかについてです。かれらは、「14カ月にわたって、テレカンファレンスで、①プロジェクトの方向性、スコープ、②仕事の分担・協働、③データの収集・分析について議論し、④ドラフトについて議論し編集を行った。最初の会議では、ドラフトのアウトライン、タイムラインについて議論し、合意形成の方法について同意を得た。」

「大グループは2週おきにテレカンファレンス、章別に小グループに分かれ、それとは別に作業の調整をし、文献レビューの結果について議論し、それぞれの章のドラフトを書いた。後で、全章をひとつにまとめ、2週おきに議論した。」

「文献検索専門家が章ごとの文献検索を行った。それらを全章に渡ってまとめた。16,000の文献を含む、AHRQ SRC Methods Libraryを用いた。追加の文献は、最近のSR、レビュー、エディトリアル、エキスパートのレビューから探した。」

要点は:
・元になる文献のレビューの段階から、チームで議論をしている。
・合意形成の手順についてあらかじめ議論し、それを共有した。
・2週おきの議論を繰り返した。

これほどのエンゲージメントは大変だろうと思いますが、チームワークで作業をする場合これくらいする必要があるだろうと思います。このような手順であれば、論文の解釈についても議論され、参加者の理解が深まり、共有されることになるでしょう。誰か分かっていそうな人が書いた原稿を誰か別の人が査読してOKなら終了というのとは全く違うと思います。

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