Narrative synthesis in systematic reviews

Narrative reviewとSystematic reviewは対比されてNarrative reviewは系統だった手法が用いられず著者の主観が入り込むから、内容・結論はあまり科学的とは言えないという風に思う人が多いかもしれません。

Narrative reviewではなくNarrative synthesisはどうでしょうか?そもそもNarrativeナラティブとは何でしょうか?Popay Jらは”ストーリー”を文章で述べることがNarrativeの特徴だと言っています。そうすると、Narrative sysnthesisとは?

•システマティックレビューと複数の研究からの知見の統合の結果を言葉と文章を用いて表すアプローチ。
•統計学的なデータを扱うこともあるが、含める研究の知見に関する”ストーリー“を文章で述べる。
•システマティックレビューで用いられるプロセスであるが、介入の効果に関連したクエスチョンに限定されない。

Popay, J.,et al. : Guidance on the conduct of narrative synthesis in systematic reviews. A product from the ESRC (Economic and Social Research Council) methods programme Version, 2006.ではこのように述べられています。Link

レビューをめぐる用語はたくさんあります。以前SWiM (Synthesis without meta-analysis)について紹介したことがありますが、それ以外にも以下のような用語があります。

Evidence synthesisとは:
•システマティックレビューを包含するがそれだけに限定されない。
•ランダム化比較試験、観察研究、質的研究、医療経済評価などすべての必要な研究が用いられる。
•結合された研究の結果は、広範な介入、政策の有効性、費用効果、適切さ、実行可能性に関する判断に情報を与える。
•特定の健康状態の原因や社会的問題に関する知識の現状など様々なタイプの多くのクエスチョンを取り扱う。
•健康サービスの研究、技術開発や都市計画の社会科学など多様な研究分野で行われる。

Evidence synthesisはエビデンスの統合ということですが、「ランダム化比較試験、観察研究、質的研究、医療経済評価などすべての必要な研究が用いられる」という点では、またその他の点からも、医療における意思決定の根拠として用いるのに一番適合する概念のように思えます。

Systematic reviewはInstitute of Medicine (IOM)(現National Academy of Medicine, NAM)の定義では、「特定の問題に絞って、類似したしかし別々の研究の知見を見つけ出し、選択し、評価し、まとめるために、明確で計画された科学的方法を用いる科学的研究。別々の研究からの結果の定量的統合(メタアナリシス)を含むことも含まないこともある」とされています。”明確で計画された科学的方法を用いる”という点から、一定の枠組みで一定の手順で複数の研究をまとめるということが重視され、それに合わせるのが難しい課題はSystematic reviewの対象から外される傾向が生まれてしまいます。その結果、医療における意思決定に、確実性の低いエビデンスは活用されないことになってしまいます。

Systematic reviewの本質は何か?よく考えることが必要だと思います。Cochrane RoB 2を用いたからSystematic review、GRADEアプローチを用いたからSystematic review、IOMのFinding What Works in Healthcare: Standards for Systematic Reviewsに従ったからSystematic reviewだというわけでないでしょう。いずれの場合も、主観的な判断が必要な部分がありますし、再現性が保証されるわけではありません。

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