アメリカAHRQのSHAREアプローチのツール4では医療・健康リテラシー、コミュニケーションの課題が取り上げられています。
”健康リテラシーが不十分な人は、入院や救急受診が多くなり、慢性疾患の治療に問題を起こしやすくなり、必要な検査を受けないことが多くなり、予防医療を活用しない傾向が高くなることが示されています。これらの知見は研究による裏付けがあり、2つの文献が引用されています。
これらの人は、より高齢で、慢性疾患を持っており、低収入で、人種的マイノリティで、高校を卒業していないか総合教育開発テストで低スコアで、英語が母国語でない可能性がより高いことが示されています。
具合が悪い、恐れを抱いている、あるいは疲労状態にある患者さんは健康に関する情報の理解に問題があるかもしれません。”
さて、ツール4にはDecision aidsデシジョンエイドについても記載があり、 デシジョンエイドを用いる場合にチェックすべき項目として以下の7つがあげられています。
- デシジョンエイドが理解可能で、実行可能であるかをPatient Education Materials Assessment Tool (PEMAT)を用いてチェックする。
- ゆっくり、やさしく話す。
- 平易な言葉を使い、専門用語を避ける。
- デシジョンエイドのプリントに〇をつけたり、線を引いたり、患者さんに氏名を記入してもらい、個別化する。
- 意思決定に用いる数値データ(効果推定値など)を患者さんに意味のある方法でデシジョンエイドの中に提示する。
- 患者さんが情報を理解していることを確認すること。患者さんに説明したことを本人の言葉で語らせることで確認する(ティーチバック)。
- 言語あるいは聞き取りに問題がある場合は、資格を有する医療通訳を同席させる。
この中で出てくる、PEMATはUnderstandabilityのドメインに6つのトピックと19項目、Actionabilityのドメインに7項目あり、計26項目から構成されています。各項目についてDisagree 0、Agree 1、Not Applicable NAで評価し、Agreeの項目の割合をパーセントで算出します。(リンク)
また、ツール5で引用されているのですが、International Patient Decision Aids Standards (IPDAS) Collaborationがデシジョンエイドの基準を2012年に発表しています。Resourcesのページに発表された論文の一覧があります。IPDAS Versions & Useのページには日本語訳へのリンクがあります。
さまざまな臨床状況でさまざまな診断法、治療法の選択についてShared decision makingが求められる場合、それぞれに対応したデシジョンエイドを数多く用意しておく必要があることになると思います。
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