PubMedに収載されている文献にはMedical Subject Headings (MeSH)医学主題見出しが複数付けられていて、MeSHだけを検索対象にすることもできます。検索語句と検索語句[MeSH Terms]をORで組み合わせて検索することで、漏れを少なくすることができます。MeSHは同じ概念が異なる言葉で表現されていても、それらをすべてカバーできるようにするために設定されています。
なお、検索語句だけの場合と検索語句[tw]、すなわち[Text Word]を付ける場合では、検索語句だけの場合は、[All Fields]として扱われるため、ヒット件数が多くなります。[tw]を付けると、タイトル、アブストラクトMeSH用語のテキスト部分が対象になり、著者名やジャーナル名は対象外になり、ヒット件数は少なめになります。2語以上の語句の場合、ダブルクォーテーションで囲むと一体として検索されるので、ヒット件数は少なめになります。
PubMed検索では必ずMeSHを確認した上で、検索式を作成する必要がありますが、そのためにMeSH Databaseを検索することはかなりの熟練が必要でしょう。MeSH Databaseでは、自分が検索したい語句のMeSHを確認し、さらにさまざまな語句・用語の階層構造を確認することができます。しかし、MeSH Databaseでどのような用語があるかを確認しなくても、自分が欲しいと思っている文献にどのようなMeSHが付けられているかを確認するだけで十分な場合も多いでしょう。システマティックレビュー/メタアナリシスの場合、類似した複数の研究をまとめるので、その中の一つでも分かれば、その研究の文献で使われているMeSHを確認して、検索式に入れることができます。
PubMedで一つの文献を選択して、MeSHを確認する方法について解説します。
例として、大腸憩室炎の治療について、ランダム化比較試験を調べたいとします。colonic diverticulitisという用語は知っているので、そのランダム化比較試験を検索してみます。
検索式の作成が簡単にできるので、ウェブツールであるpmSearchを使ってみます。colonic diverticulitisと入力し、Publication type:でRandomized controlled trialにチェックを入れます。Subjects:はHuman、LanguageはEnglish/Japanese、アブストラクトのある論文に限定したいので、Abstrac:はWith abstractにチェックを入れアブストラクトのある文献に限定します。

中央下のテキストエリアに検索式が書き出されるので、その下のSearch in PubMedボタンをクリックします。

PubMedが開かれ、検索結果が表示されますので、自分の目的に合う論文があったら、そのタイトル部分をクリックします。

アブストラクトが表示されますが、その上にSaveボタンがあるのでそれをクリックします。

すると、その下にSave citation to fileの設定画面が現れるので、FormatからPubMedを選択します。

その上で、Create fileボタンをクリックします。

すると、ブラウザでダウンロードの表示が右上の方に出てきます。通常ファイルとして保存する場合は、名前を付けて保存をクリックしますが、ここでは、開くボタンをクリックします。

これにより、メモ帳のようなテキストエディターでその文献の内容がPubMed形式で開かれます。PubMed形式の場合、MH -が付いている部分がMeSHなので、ここで自分が探したい文献に付いているであろう、MeSHを確認することができます。このやり方はファイルをダウンロードする必要が無いところが便利だと思います。
今回の例では、MHのひとつに、Diverticulitis, Colonic/blood/*drug therapy/surgeryと書かれていました。大腸憩室炎が主題で、サブヘディングとしての血液検査、主要トピックとしての薬物療法、サブヘディングとしての外科的治療に言及する内容が含まれているということが示されています。なお、このテキストをそのまま[Mesh Terms]というタグを付けても検索はできません。また、/以下の語句についてはMeSHの階層構造を表しているわけではありません。
例えば、”Diverticulitis, Colonic/blood”[MeSH Terms]、”Diverticulitis, Colonic/drug therapy”[Majr]、”Diverticulitis, Colonic/surgery”[MeSH Terms]はそれぞれ検索できます。なお、Diverticulitis, Colonic/blood[MeSH Terms]と検索語をダブルクォーテーションで囲まなくてもほぼ同じように動作しますが、Auto Term Mapping (ATM)が作動して検索範囲が広がる可能性があります。ダブルクォーテーションで囲った場合は、MeSHインデックスに正確に「Diverticulitis, Colonic/blood」が付与されている論文だけがヒットします。また、主要トピック(/の左側にある)との組み合わせ無しで、サブヘディングだけを横断的に検索することはできません。
また、MeSHとして検索を指定したい場合、[MH]と[MeSH Terms]は実質的に同じように動作しますが、[MH]は古い表記だそうです。[Majr]はMajor Topi主要テーマとして付与された論文のみを検索します。
1件の標的文献のMeSHをこのようにして確認することで、検索式を組み立てる際の参考にすることができます。
例えば、クエスチョン
P: 成人の大腸憩室炎
I: 抗菌薬投与
C: プラセボまたは保存的治療
O: 治癒
D: ランダム化比較試験
についての文献をできるだけ包括的に集めたいと考えた場合、Cochraneのランダム化比較試験用の感度最大化の検索フィルターを組み合わせ、以下のような検索式で、言語は英語、日本語に限定して検索すると218件ヒットしました。Cochraneのランダム化比較試験用の検索フィルターはpmSearchの右サイドバーでFilter:から選択できます。検索式にはPの要素をORで結合、Iの要素をORで結合、こられと言語のフィルターと検索フィルターをANDで結合しており、Oの要素は含めていません。
(Diverticulitis, Colonic[MH] OR colonic diverticulitis) AND (Anti-Bacterial Agents[MH] OR antibiotics) AND (english[la] OR japanese[la]) AND hasabstract[tw] AND (randomized controlled trial [pt] OR controlled clinical trial [pt] OR randomized [tiab] OR placebo [tiab] OR drug therapy [sh] OR randomly [tiab] OR trial [tiab] OR groups [tiab])
PubMedの検索結果は、Abstract (text)形式でテキストファイルとして保存します。hasabstract[tw]をANDで組み合わせているので、アブストラクトのない論文は除外されています。

検索結果の画面で、上の方にあるSaveボタンをクリックし、Save citation to fileでSelectionをAll results、FormatをAbstract (text)に設定して、Create fileボタンをクリックして、名前を付けて保存で、ファイル名を付けて保存します。Abstract (text)形式では、以下のような内容を含んでいます。PubMed形式とほぼ同じ内容ですが、PubMed形式のようなタグ(フィールド名)は付いていません。各論文の最初は通し番号が振られ、Abstractは1行ごとに改行が入っています。
1. Gastroenterology. 2021 Feb;160(3):906-911.e1. doi: 10.1053/j.gastro.2020.09.059.
Epub 2020 Dec 3.
AGA Clinical Practice Update on Medical Management of Colonic Diverticulitis:
Expert Review.
Peery AF(1), Shaukat A(2), Strate LL(3).
Author information:
(1)University of North Carolina, Chapel Hill, North Carolina. Electronic
address: anne_peery@med.unc.edu.
(2)University of Minnesota, Minneapolis, Minnesota.
(3)University of Washington, Seattle, Washington.
Colonic diverticulitis is a painful gastrointestinal disease that recurs
unpredictably and can lead to chronic gastrointestinal symptoms.
Gastroenterologists commonly care for patients with this disease. The purpose of
this Clinical Practice Update is to provide practical and evidence-based advice
for management of diverticulitis. We reviewed systematic reviews, meta-analyses,
randomized controlled trials, and observational studies to develop 14 best
practices. In brief, computed tomography is often necessary to make a diagnosis.
Rarely, a colon malignancy is misdiagnosed as diverticulitis. Whether patients
should have a colonoscopy after an episode of diverticulitis depends on the
patient's history, most recent colonoscopy, and disease severity and course. In
patients with a history of diverticulitis and chronic symptoms, alternative
diagnoses should be excluded with both imaging and lower endoscopy. Antibiotic
treatment can be used selectively rather than routinely in immunocompetent
patients with mild acute uncomplicated diverticulitis. Antibiotic treatment is
strongly advised in immunocompromised patients. To reduce the risk of
recurrence, patients should consume a high-quality diet, have a normal body mass
index, be physically active, not smoke, and avoid nonsteroidal anti-inflammatory
drug use except aspirin prescribed for secondary prevention of cardiovascular
disease. At the same time, patients should understand that genetic factors also
contribute to diverticulitis risk. Patients should be educated that the risk of
complicated diverticulitis is highest with the first presentation. An elective
segmental resection should not be advised based on the number of episodes.
Instead, a discussion of elective segmental resection should be personalized to
consider severity of disease, patient preferences and values, as well as risks
and benefits.
Copyright © 2021 AGA Institute. Published by Elsevier Inc. All rights reserved.
DOI: 10.1053/j.gastro.2020.09.059
PMCID: PMC7878331
PMID: 33279517 [Indexed for MEDLINE]
Conflict of interest statement: Conflicts of Interest: All authors have no
relevant conflicts to report.
ダウンロードしたテキストファイルをGoogle GeminiやGoogle NotebookLMにアップロードして、これらのAI機能を使った様々な利用が考えられます。
