さて、GRADE approachではネットワークメタアナリシスのSoF (Summary of Findings) tableにはSUCRAを記述する欄があります。したがって、SURCRAの計算が必要になります。
文献)Yepes-Nuñez JJ, Li SA, Guyatt G, Jack SM, Brozek JL, Beyene J, Murad MH, Rochwerg B, Mbuagbaw L, Zhang Y, Flórez ID, Siemieniuk RA, Sadeghirad B, Mustafa R, Santesso N, Schünemann HJ: Development of the summary of findings table for network meta-analysis. J Clin Epidemiol 2019;115:1-13. PMID: 31055177
Rはフリーの統計解析プラットフォームおよびプログラミング言語ですが、今は相当普及していて、アカデミアでも、使っている人が大勢いると思います。The Comprehensive R Archive NetworkではWindows版のみならずMac版、Linux版が提供されています。普段Windows10のノートPCを使うことが多いのですが、周りにはMacを使う人も多く、私自身も以前はMacを主に使っていました。今も時々iMacを使うことがあります。しばらくMacでRを使うことはなかったのですが、今日はMacでRの最新バージョンをインストールして、さらにXQuartzをインストールし、Bayesian推定に使われるJAGS (Just Another Gibbs Sampler)をインストールし、Rのパッケージであるrjagsとgemtcをインストールして、動かして見ました。
Network meta-analysisネットワークメタアナリシスにはすでに紹介したことのある、OpenBUGSが使われる事が多いのですが、ネットワークメタアナリシス用のRのパッケージであるgemtcとpcnetmetaはRからrjagsを介してJAGSを動かしてMarkov Chain Monte Carlo (MCMC) simulationを実行するようになっています。gemtcはコントラストベースcontrast-basedのネットワークメタアナリシス、pcnetmetaはアームベースarm-basedのネットワークメタアナリシスができるRのパッケージです。
Mac用のRはR-4.0.0.pkgでバージョンは4.0.0になっています(2020.5.22時点)。CRANのメインページから左サイドバーのMirrorsを開き、Japanのサイトのいずれかを選びます。Download R for (Mac) OS Xのページを開き、R-4.0.0.pkgをダウンドードして他のMac用ソフトと同じようにインストールします。続いて、同じページにあるXQuartzのリンクを開き、XQuartz-2.7.22.dmgをダウンロードしてインストールします。
ネットワークグラフで閉じられたループがあると、直接比較の効果推定値だけでなく間接比較の効果推定値が得られる事がわかります。この例では、2と3を結ぶ線より、3と1を結ぶ線が太く、そこに多くの研究がある事が示されています。2と1を結ぶ線もあるので、2と3を比較する間接比較のデータが得られ、2と3を比較するネットワーク効果推定値には間接比較のデータがかなり影響するであろうと考えられます。実際、Node-splittingモデルのプロットを見ると、3 vs 2のnetwork estimateはindirectのestimateの影響で、オッズ比が0.93 (0.22-3.9)から1.4 (0.63-3.3)と大きな値になっています。
なお、この解析結果は#4-1のデータを#4-2のスクリプトで解析したものです。つまり、オッズ比の値が大きい方が望ましい結果です。Rankogramを見ると、治療4が最も治療効果が高い確率が最も高い事が言えます。しかし、上のNode-splittingモデルの4 vs 3の比較を見ると、間接比較の点推定値がかなり大きく、直接比較との間の検定ではP=0.0819ですが、バイアス、非直接性、非移行性intransitivityなどによって偏りが生じている可能性をチェックする必要があると言えます。